人生の根幹
1月25日
智辯和歌山卒業式
早くも旅立ち新しい環境に入るスポーツ推薦組。
これからが勝負の一般受験組。
入学までの時間を有意義に使う推薦組。
それぞれの想いと覚悟が荘厳な空気に包まれた素晴らしい卒業式だった。
希望と不安がヒシヒシと伝わってくる卒業生たちの背中に13年前の自分を重ね、自分の歩みを振り返った。
立命館大学4年間はプレーヤーとしての挫折を味わい、もがき苦しみながらも向き合い続けた現実と理想。
4年時には大した実力もない中で主将を任せて頂き、高校野球とは違ったリーダーシップのあり方に気付かされた。
自分を信じ貫く勇気と、自分を否定し変化させる勇気のバランスの重要性を学ばせてもらった。
大学での学びは非常に有意義で、今の自分の考え方にかなりの影響を与えている。
社会学を学んだ体育教師として、智辯和歌山高校に赴任させて頂き、小学校1年生から高校3年生までの生徒達と共に、広い視野と価値観を持って答えのないものと向き合い、より良い空間を作り上げてきた。
最初は上手くいかないことばかりで、生徒に迷惑をかけてばかりだった。
それは野球部の指導でも同じ。
自分の価値観を押し付ける指導により、沢山の生徒を苦しめてしまい、今となっては本当に申し訳なく思う。
学校業務や部活指導を懸命に行う中で、結果が全てとなる智辯和歌山野球部での数多くの失敗から自分の価値観が180度が変わった。
「誰の為、何のための学校なのか?」
この答えには賛否両論あるだろうが、私はこう考える。
「児童生徒1人1人が夢を見つけ、近づくために、叶えるために学校がある」
こう考えるようになって、全ての物事が上手く回り出し、圧倒的な成果が現れるようになった。
誰に主体を置いて、何のために行動するのかという本質が違えば、方向性が全て変わってしまい、言動・行動全てに変化が生じ、それが結果・成果に反映される。
日本的な美しい考え方である「自己犠牲」
しかし、私が追い求めたのは誰一人の「犠牲」を出す事なく、全員が充実に満ち溢れた空間。
それを発振する事によって世の中に好影響をもたらし、社会全体の活力を生み出す一助となれる組織。
社会繁栄のための個人の充実
未来繁栄のための今の充実
「個人」の「今」の「充実」を最優先事項とし、それをどれだけ速いスピードで積み上げられるかという戦いに勝利した時、夢を現実にできると確信した。
時に「あり方」や「形式」に捉われ根本を見失いそうになったが、懸命に戦う生徒たちの姿に何度も気付かせてもらい、成長することができたと感じる。
平成と共に歳を重ね、一時代が終わり、新たなスタートとなる節目の2020年。
目まぐるしく変化する世の中で一体何が生まれていくのか。
しかし、どれだけ社会が変化しようとも、私にできることただ一つ。「本を忘れず」自分が見たものや感じたことを道しるべに、堂々と懸命に生きていくということだけである。